聖ゲオルギウスとドラゴンは、善と悪の永遠の戦いを表現した彫刻作品です。 ここでは、若く勇敢な聖ゲオルギウスとして世界が表現され、混沌がドラゴンの怪物としての姿で表現されています。 本作の装飾は困難を極めました。 エナメルを用いて造形をより際立たせたドラゴンの絵画的な仕上がりが、明るい色で彩色された聖ゲオルギウスの繊細さとコントラストをなしています。 装飾要素として、金属と皮が使われています。 漂う躍動感やその壮大さを見れば、本作がリヤドロのアーティストたちだけに可能な彫刻技術の挑戦であったことがわかるでしょう。 ドラゴンの写実的な装飾は、その鱗や背骨など、身体のディテールの一つ一つにまで生命を与えるかのようであり、また、その獰猛さを強調して、聖ゲオルギウスの、明るく繊細な装飾とコントラストを成しています。 本作のあらゆる要素(異なる色使い、フォルム、姿勢等)が一貫して、善と悪の永遠の戦いを表現しているのです。 世界的に知られる9世紀の伝説の一場面を表現していますが、さらに広い意味で、人間の意志の恒常的な事象、つまり混沌に対する秩序の優越、悪に対する善の優越を表現しているのです。